銭湯賛歌②<伊興編>「銭湯は、遊び場?社会勉強の場?」


昭和32年、小学2年の夏休み、竹ノ塚駅西口伊興町前沼の都営住宅に引っ

越す。6畳と4畳半二間に玄関、台所、トイレ、庭まで付いていた。親子三人

には十分過ぎる広さだ。それでも風呂は付いてなかった。

近くの「伊興温泉」へ通う。もう、湯船に入る前に汚れを流すとか、迷惑を

かけない体の洗い方とか、銭湯マナーは身に付けていた。それでも洗い場で、

石鹸箱の蓋に浴用タオルをかぶせ、石鹸を塗って、端から息を吹いて泡を立て

たり、風呂桶を二つ使ってロボットウォークをして、遊んだ。ある日、同級生

二人が泥だらけで入ってきて、そのまま湯船に飛び込もうとして、近所のおっ

さんから大目玉を食らった。銭湯は、社会性を教える、躾の場でもあった。

中学の時、風呂場で頭から先に洗うか、体からか?話題になった。私は頭か

ら先で、同級生は体からだった。後から体を洗うと、浴用タオルを石鹸で洗っ

たことになり、反対だと、頭を拭いた後に耳掃除をしても、タオルは石鹸で洗

えない。だから、頭から先に洗った方が清潔だと主張した。すると、最後に泡

の付いた石鹸をタオルでぬぐうので、石鹸で洗ったのと同じ効果を得られると

の反論。どちらでもいいことだが、私は、今でも頭から先に洗っている。

石川義夫(足立区副区長)

文:石川義夫(足立区副区長)