銭湯賛歌⑥<総論編>その3「洗髪の中にもあった 銭湯文化」


 小学校に上がる頃まで、銭湯で頭を洗われるのが嫌いだった。石鹸が目に沁

みるのだ。今風のシャンプーハットなどなかったし、買える時代でもなかった。

もっと小さい頃は、仰向けでお湯を流して貰ったので、目に石鹸は入らなかっ

たが、4~5歳になるとそうはいかない。椅子代わりの裏返した洗い桶に座わ

らされて、前から頭を洗われた。目をぎゅっとつぶっても、お湯をかけられる

のは苦手だった。一人で洗えるようになって、シャワーも普及してからは、ど

うにか克服できた。今では、頭は毎日洗わないと気持ちが悪い。

 最近、シャンプーが長持ちすると感じている。シャンプーの減り方と髪の毛

の量は比例するようだ。そういえば、昭和20年代は、女性が髪の毛を洗うと

き、別料金を払ったと記憶している。日本髪を結っている人が多く、お湯を大

量に使うからだと思う。うちの祖母ちゃんがそうだった。洗い場に、晒しの腹

巻を巻いてパンツ一丁のいなせな三助さんがいて、髪の毛を洗うのを手伝って

くれた。三助さんは、近所のご隠居さんの肩を揉んだり、背中を流したりして

いた。昭和の銭湯文化の名残りである。平成の今はもういない。

副区長

文:石川義夫(足立区副区長)